変速機の操作方法(ロードバイク STIレバー編)
ロードバイクに乗り始めた方にとって、「STIレバーを使った変速操作」は最初の壁となることが多いものです。
坂道で脚が回らなくなったり、変速時に異音がしたり、長距離走行後に膝や腰に違和感を覚えたり──そんな経験をお持ちの方も少なくないでしょう。
ロードバイクは見た目やスピードだけでなく、適切なギア選びによってこそ、その性能を最大限に引き出せます。
特に、多くのロードバイクに採用されているShimanoのSTIレバーは、最初は戸惑うかもしれませんが、使いこなせば走りの快適性が大きく向上します。
この記事では、初心者の方にもわかりやすく、STIレバーによる変速の基本と、より安全で楽しいライドのためのコツを解説していきます。
ギア比や変速の仕組みについてさらに詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。
👉 今さら聞けない!? 意外と知らない?変速の基礎知識と上手なギア比の選び方
1. 変速機は体力を無理に消耗させないためのサポート
ロードバイクの変速機は、単なるスピードアップのための装置ではありません。
体力を温存し、長距離ライドを快適に楽しむための重要なサポート役です。
登り坂、向かい風、信号待ちからの発進など、刻々と変化する状況に応じて、適切なギアを選べば、
- 脚への負担を分散できる
- 呼吸と心拍を安定させられる
- 無理なくスムーズに進める
といったメリットがあり、体力を温存しながら長時間の走行が可能になります。
逆に、重いギアで無理に踏み続けると筋肉への負荷が大きくなり、軽すぎるギアでは心肺に余分な負担がかかってしまいます。
変速機を使いこなすこと=効率よく走るための武器を持つこと。
ロードバイクのパフォーマンスを最大限に引き出すためにも、変速を積極的に活用しましょう。
2. 壊れない&疲れにくい変速のルール
ペダルを軽く回しながら変速する
変速時は、ペダルを止めたり、強く踏み込んだりせず、軽く回しながら行うことが鉄則です。チェーンが次のギアに移動しやすくなり、機材に余計な負担をかけずに済みます。
特にフロントを重くする場合は変速が完了するまでしっかりとレバーを押し切った状態を維持しておくことが大事です。
一度に何段も飛ばして変速しない
焦って3段、4段と飛ばして変速すると、チェーンに過剰なテンションがかかり、変速不良やトラブルの原因となります。1段ずつ、確実に変速する習慣をつけましょう。
ペダルを無闇に後ろ回しにしない
ドライブトレインは後ろ回しには最適化されていません。後ろに回すことでチェーンの外れや噛み込みが起こることがあります。通常走行時は前回しを徹底しましょう。
チェーンラインを無理に斜めにしない

アウター×ローやインナー×トップのような極端なギア組み合わせは、チェーンやスプロケットに負荷をかけます。できるだけ自然なチェーンラインを意識してギア選びをしましょう。
左右のシフターを同時に操作しない
左手と右手のシフターを同時に操作すると、前後のギアが同時に動き、チェーンに異常なテンションがかかります。変速は片側ずつ、落ち着いて行うことが重要です。

3. STIレバーの操作方法
STIレバー(デュアルコントロールレバー)は、ロードバイク特有の変速+ブレーキ一体型レバーです。
左手レバー(フロントディレイラー操作)
- ブラケット全体を内側に倒す: アウター(大きなギア)へ
- 小さなレバーを押す: インナー(小さなギア)へ
フロントの変速は動きが大きく、確実に押し込むことがポイントです。
右手レバー(リアディレイラー操作)
- 小さなレバーを押す: リアのギアをトップ側へ(重くする)
- ブラケット全体を内側に倒す: リアのギアをロー側へ(軽くする)
リアは細かく調整できるため、ペースや斜度の変化に応じてこまめに使いましょう。

操作の注意点
初心者のうちは、1段ずつ確実に変速することを心がけましょう。また、変速中にブレーキレバーを無理に引きすぎないよう注意が必要です。
取扱説明書も確認を
STIレバーや変速機の仕様はモデルごとに異なります。必ず取扱説明書にも目を通して、正しい操作方法を確認しておきましょう。
4. ペダリングリズムを保つ変速のコツ
ロードバイクでは、一定のペダリングリズム(ケイデンス)を維持することが、効率的かつ疲れにくい走行に直結します。変速を適切に使い、リズムを乱さずに走り続けることが重要です。
なぜペダリングリズムを一定に保つのか
ケイデンスが安定すると、
- 筋肉の負担が分散される
- 呼吸と心拍が安定しやすい
- 乳酸の蓄積を抑え、疲労しにくくなる
リズムが崩れると、体力を無駄に消耗してしまう原因になります。
目安とするケイデンス
初心者の方であれば、まずは1分間に70〜90回転を目指しましょう。
無理に速く回す必要はなく、自分が心地よく回せるリズムを意識することが大切です。
リズムが乱れたら素早く変速
ペダルが重く感じたら、我慢せず早めにギアを軽くしましょう。
速やかな変速によって、リズムを崩さず、疲労を抑えた走行が可能になります。
5. 実際の操作イメージ
ここでは、具体的なシチュエーションごとに変速のタイミングやポイントを紹介します。
信号待ちからのスタート
停止する前にリアのギアを2〜3段軽くしておき、発進時に脚への負担を減らしましょう。
坂道へのアプローチ
坂道に入る手前でギアを軽くしておくことが鉄則です。登りながらの変速はトラブルのリスクが高くなるため、できるだけ事前に対応しておきましょう。
坂の途中で変速が必要になったら
ペダルへの負荷を一旦抜き、軽く回しながらやさしく変速操作を行いましょう。
下り坂での変速
スピードに合わせてギアを重くし、適切な回転数を維持します。軽すぎるギアでは空回りし、バイクコントロールが難しくなるため注意が必要です。
向かい風に対する変速
向かい風ではギアを軽めにして、比較的高めのケイデンスで進みましょう。上体を低く構え、空気抵抗を減らす工夫も効果的です。
6. よくある失敗例と対策
初心者のうちに陥りやすい変速ミスとその対処法を知っておくことで、トラブルを防ぎ、安心して走行できるようになります。
・坂道で変速が遅れる
原因: 坂に差しかかってからギアを軽くしようとすると、負荷がかかりすぎてスムーズな変速ができない。
対策: 坂道手前で余裕を持って軽いギアへ変速しておく。
・発進時にギアが重すぎる
原因: 信号待ち前に変速していなかった。
対策: 停止直前にリアを2〜3段軽くしておき、発進をスムーズに。
・変速してもギアが変わらない
原因: ペダルを止めたままレバー操作をしている。
対策: 変速時は必ずペダルを軽く回し続ける。
・変速時に異音やトラブルが発生する
原因: チェーンラインが無理な角度になっている、またはワイヤーの初期伸びなど調整のズレ。
対策: 自然なギア組み合わせを意識し、違和感があれば早めに点検を受けましょう。
7. 今日から始められる練習法
変速操作は知識だけでなく、体で覚えることが大切です。シンプルな練習から始めましょう。
平地でリア変速に慣れる
右手操作だけでリアディレイラーの変速に慣れ、リズムよくペダリングしながら操作感を覚えます。
フロント変速も加える
左手でフロントディレイラーを操作し、ギアの大きな切り替えにも慣れていきましょう。
フロント変速は、ペダルを強く踏み込んでいないタイミングで行うのがコツです。
シチュエーション別に練習する
- 信号待ち前にリアを軽くする
- 坂道手前でギアを軽くする
- 下り坂ではギアを重くして回転数を整える
- 向かい風では軽いギアで高回転を維持する
これらを意識して繰り返すことで、自然な「先読み変速」が身についていきます。
8. 変速に違和感を感じたときの対応
調整ボルトには触らない

変速不良を感じても、振り幅調整ボルトやBテンションボルトを自己判断で触るのは避けましょう。
これらは精密な調整が必要な箇所です。違和感があれば、ショップに相談するのが確実です。
初期伸び(実際は初期縮み)について
乗り始めてしばらくすると、ワイヤー周辺のなじみにより変速調子が少しずれることがあります。
一般的に「初期伸び」と呼ばれますが、正確にはアウターケーブルやキャップの沈み込みによる「初期縮み」が原因です。
ご購入後1〜3ヶ月、または200〜300km走行した頃が、初回点検の目安となります。
ディレイラーハンガーのチェック
転倒や強い衝撃を受けた後は、リアディレイラーハンガーが曲がっている可能性があります。
変速違和感や異音が出た場合は、早めに点検を受けましょう。詳しくはこちら👇
転倒・落車時に真っ先に注意したい!ディレイラーハンガーのアラインメント
困ったときはショップへ
変速に違和感があるときは、無理に走り続けず、バイクプラス各店や信頼できるTREK正規販売店にご相談ください。
9. まとめ:変速を味方にする
ロードバイクにおいて変速機は、単なる速度調整だけでなく、体力を守り、安全に、楽しく走るための心強いパートナーです。
押さえておきたいポイント
- ペダルを軽く回しながら変速する
- 焦らず1段ずつ確実に変速する
- 坂道や停止前には早めにギアを軽くする
- リズムが崩れたら迷わず変速する
- 自然なチェーンラインを意識する
最初はぎこちなくても、意識して繰り返すうちに、自然なタイミングで変速できるようになります。
変速を味方につけて、ロードバイクライフをさらに豊かに広げていきましょう🚴✨
